書店外商って何をしているの?知られざる書店外商の世界

書店繁盛への道

書店の求人を見ていると

店舗の求人はアルバイトか契約社員ぐらいしか無いですが

外商の中途正社員募集をちらほら見かけます。

書店の現場に比べて門戸が開かれていることが多い書店外商。

どのようなお仕事をしているのでしょうか。

実はメカ書店員。一時書店外商もやっていました。

久しぶりのブログ更新となりましたが、今日は知られざる、書店外商の世界を話したく思います。

外商といえば、まず思い浮かぶ百貨店外商

外商と言えば、一般的に百貨店の外商がまず思い浮かびます。

百貨店外商は、実業家・医者・弁護士、地域の富裕層を対象に個別に営業し高額商品を売り込む仕事です。

百貨店で高額商品を買うと「お客様、もしよかったら・・・外商サービスに興味ございませんか?」とひっそり誘われます。

一般のカードとは別のカードを渡され、店内のサロンが利用でき、ホテルでの特別な催し物へ招待(といっても軽食を楽しみながらの商品即売会)、店舗での買い物アテンドをしてくれます。

家族の記念日があると、それに応じた商品の紹介もされます(ややウザいが、なかなかこころの痒いところに届く提案だったりするから、ムゲにもできない)。

また、ある百貨店で土用の丑の日。スーツ姿の百貨店外商員がひっきりなしに、うな丼を取りに来ていました。

きっと外商顧客は一般客のように並ばずに外商に届けさせているのだな、そうつくづく思ったものです。

しかも、うな丼のテイクアウト。ものすごい量なのです。そんなに顧客がいるのか、と驚かされました。

僕が知っているのはこのくらい。外商付きでもランクがあるようで、上位顧客はもっと驚くようなサービスがあるのかもしれません。

もちろん、その分百貨店の売上に貢献しなければサービスが受けられませんが、興味深い世界です。

10万円を超えるおせちが百貨店で売っていますが、ああいうのを平気で買う世界があるのです。百貨店は桁違いの消費をする顧客を創造できている。興味深くないですか?

書店外商をしていて、この百貨店の手法を援用できないものか。時々、外商から送られてくるDM見ながら考えるのです。

どんなことしているの? 書店外商

さて、書店の外商は何をしているのか。

お客様は個人ではありません。

主に大学図書館・公官庁・病院に書籍の販売をしていました。いわゆるルート法人営業、御用聞きです。

定期的に出る刊行物、新聞の縮刷版を納品。

セットもので継続している書籍を納品。

また、出版社から貰ったパンフレットを渡し、発注の参考にしてもらっていました。

図書館に限らず、大学に行けば研究室・研究所、そこかしこにバラまいたものです。

思い返せば、所属した営業所の風土だったのかもしれませんが、ずいぶん旧態依然とした泥臭い仕事でした。

大学図書館が買う書籍ですが店舗では見かけない不思議で高価なものばかりでした。

主にセットもの、明治・大正の復刻モノ、価格はウン十万円。

活字がつぶれたオンデマンド出版。

だれが読むのだというような専門書。

一般の学生は読むのだろうか?きわめて怪しい本です。

垣間見えたのは、限られた少数者のために細々と研究がされていて、その成果が出版される。限られたルートで流通している。そんなささやかな経済圏です。

大量に新刊を仕入れ、大量に売る。といった手法で本を届ける仕事をしていた身とって書店外商は全く別の商売に感じられました。

そんなマニアックな本が頻繁に出版され、毎週納品するなんてことはありません。

正直、書店外商の仕事は1週間廻っても新規受注無しなんてざらでした。

仕事に身が入っていないだけだったのかもしれませんが、別の営業マンも似たり寄ったりの成績でした。

外商は本を値引きしている

外商の最大の特徴は本を値引きしていることです。

本を届けた上に割引をしているのです。ただでさえ利益率少ない本を値引いているのです。

よく、大学生協では本を10%値引きして販売しています。

これは、生活協同組合が独占禁止法第23条5項に示されている再販売価格維持の除外対象になっている団体だからです。

では書店外商の値引きはどんな根拠があってなのか。調べているのですが、よく分からない。教育に関することだから、と緩くなっているのか、単に商習慣だからなのか。

書店外商をやっていた本人が上手く答えられないのは情けないですが、とにかく5%とか10%とか値引きをしていました。

値引くことができるという事で値引き合戦を起こしていました。

ライバル書店もいます。A社は10%、B社が12%。ここは受注しましょう!と値引きを15%にするなんてことをやっていたものです。

図書館側も「うーーん、16%はムリ?」なんて迫ってきます。

もともと利益少ない書籍の更なる値引き。儲かっているのか?怪しいものです。

妙な売上至上主義が残っていたので、中には完全赤字の商品もありました。

教科書販売で稼ぐ 書店外商

さて、どこで稼いで給料が出ているのかと言えば、教科書販売からです。

特に大学のテキストの販売です。

書店の外商紹介のページを見れば

いくつ教育機関を担当しているのか誇らしげに書かれています。

テキスト販売ができればそれでオッケーなのです。

そのために書店外商は大学教授ほか非常勤に至るまで、テキストのお伺いをするのです。

シーズンになれば、シラバスを事前にいただき、教員の連絡先を聞き

受講者数・必要なテキストの内容・テキストの手配・臨時売店の設置

等々やるのです。

大学生協が大きなところは生協がやっているのですが、そうでもないところは書店外商が主体になって販売を行っているのです。

また、高校に卸すこともあります。

教科書の他に副教材があります。この副教材が美味しい。

名門校になればなるほど、気の毒なくらい買わされます。

事前に教科書・副教材を組んで、お金をもらって、渡すだけのオペレーションを行うのです。

ざっくり240人学生がいるとして3学年720人。2万円買うとして1,440万円です。

ん?大した金額じゃない?

この規模を慈雨に感じるのがこの業界なのです。

教科書販売はいつまで続くのだろうか? 忍び寄るkindle出版

大学のテキストはよく見込み違いが発生します。

テキストが足りない。テキストが大量に余る。

大学テキストの版元は何故かマイナーところが多いです。

返品を渋る。しかたないので、来期に塩漬けにする。ところが来期開講されない。

さらに前任者は放置したテキストが見つかる。チーン。

といった具合です。何度煮え湯を飲まされたことか!

そこでふと思うのが、テキストをkindle出版にしたらどうなるだろうかという想像です。

・kindle化すれば欠品が発生しない

・kindle化すれば、著者に印税70%入る

語学のように、書き込んで覚える性質のものは紙のが有用ですが、読むだけのテキストであれば、kindle出版と親和性は高いと言えます。

非常勤講師は薄給だと言います。あらかじめ講義内容の概略をkindle出版しておいて、これをテキストとして受講生に売り込めば、小遣い稼ぎになるではありませんか。レジュメを毎回印刷する必要もなくなります。

kindle出版でまとめた文章は、ゆくゆくは自分の著書で活用することもできます。

また、大多数が受講する『〇〇概論』といったテキストは大学が懇意にしている印刷屋が独占的に刷っていますが、それを排して、まるまるテキストで大学が稼ぐことも出来るのです。

もし、大学教務課主導でテキストのkindle化が、SDGsのためとか二酸化炭素の排出を減らすためとか、電子書籍を使いこなす人材の育成のためという題目の元に進展した場合、既存の書店外商を吹き飛ばす。と空恐ろしくなるのです。

であれば逆に、書店外商がkindle出版の方法を身に付け、大学教授、講師、非常勤を囲い込んで、出版物の電子化を進めてはどうだろうか。売れるたびに手数料をもらい受ける、こう商売自体を再構成されれば、利益率高い商売ができるのではないか。

これが、令和の教科書販売というものではないでしょうか。


まちの中小書店を支えているのが小中学校の教科書販売なのですが、義務教育で使われる教科書の電子化が進む方向です。

いずれ教科書販売だけに頼っている書店は淘汰されるでしょう。

教科書のデジタル化と中小書店の存続はリンクしています。

やがて投入される電子タブレット。検定教科書に食い込むことは難しいですが、例えば社会科副教材『私たちの〇〇区』といったニッチなテキストはどうでしょうか。タブレットに入れる時、どこが作りどんなお金の流れを作るのか。これは、これからのホットなテーマに違いありません。

おわりに テキストを組む作業は好きなのですが…

教科書販売の前段階として何十種類ものテキストを順に組んでゆく作業は、陶酔感があって嫌いではないです。

ですが教科書販売の現場を経験し買いに来る生徒を見ていて、この光景は未来永劫ではなく、それに対する対策が準備されているのか暗い気持ちになります。

僕は外商部から離れてしまったので、最近の動きがつかめないのですが、一部の体力のある大手書店の外商部は電子教科書のサービスを行っているようです。

これは丸善雄松堂の案内ですが、こんなこともしているのですね。「電子教科書について」と言う部分です。値段は分かりませんが、購入者のみ見れるのでしょう。

https://jigyo.mukogawa-u.ac.jp//kyoukasho/howto_red_20210312.pdf

この紙の教科書販売をしつつ、電子テキストを売り込んでいる様子。さすが丸善ですね。やりおる。

最近の書店決算を見ていると学術部門が堅調な書店がありますが、そういうイノベーションに乗っかることができたということなのでしょう。

適切なプラットフォームを築けば総取りができるという事なのです。


書店外商の世界。求人があるという事は、店舗と違って儲かっているのでしょう。書店からイメージされるお仕事とは違い一般的な法人営業の仕事に近いです。けれども、これもまた本を必要をするところに届けるお仕事なのです。

今日はここまで。

お読みいただきありがとうございました。

コメント

  1. […] どんなお仕事なのかはこちらに書きました。 […]

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