書店員が考えるkindle 活用術 一般の方はもちろん、書店員こそkindleに親しもう

読書・雑記・書店員お役立ち

書店員がkindleについて語る。これはセンシティブな問題です。

kindleと口にしただけで、口がkindleになる!おぞましい。なんというAmazonへの敵利行為。と、石を投げられそうな雰囲気があります。

書店の休憩室で、本を読んでいる人、スマホをいじっている人は見かけても、kindleを読んいる人を見たことはありません。そう、ライバル書店のブックカバーで堂々と読書している太い神経の人もkindleとなるとドン引きなのです。

なぜ、リアル書店勢に属している人間がkindleの話を反発覚悟でするのか。

kindle対策として敵を知るのは当然です。それ以上に警鐘を鳴らしたいのです。

出版の上流工程においてkindleが幅を利かせつつあり、出版社はリアル出版と電子出版を天秤にかけている節があるのにもかかわらず

リアル書店勢は、

「出版社はリアル書籍を出して稼いでいるのだから、書店勢の仲間だろ?これからもよろしく。」と勘違いをしている状態に警鐘を鳴らしたいのです。

出版不況と言いますが、電子部門は絶好調です。

コロナによる店舗休みの間にいろいろな出来事がありました。

DMMによる大型割引

講談社のkindle半額還元セール

セールはkindleのみならず、丸善ジュンク系の「HONTO」でも行われていました。

3月に出たばかりでまだ平積の新書が、電子書籍では実質半額で販売されている。

そこまでやるのか、軽いめまいを覚えました。

Amazon.co.jp: [プライムデー] Kindle本最大70%OFF: Kindleストア
Kindleストア の優れたセレクションからオンラインショッピング。

こんなフェアも頻繁にやっています。これは2021年6月22日までですが

三体 1巻と2巻(上下)

ザリガニの鳴くところ (2021年本屋大賞翻訳小説部門第一位)

星ひとみの天星術 (占い本としては売上トップのお店多数)

なんて、ビックタイトルを惜しげもなく投入してくる。

ザリガニどころか書店員泣かせではないですか! そこまでやるのか頭が痛くなってきた。


人口減少が確実な中、出版社は生き残り政策として海外での版権ビジネスと並び電子書籍に力を入れています。

それと並行してリアル書籍へのウェイトを徐々に減らしてくるのではないか思えるのです。

出版社にもメンツがあるので、紙の文化、大切。とか言いますが、毎年二桁で成長している電子書籍。利益率もイイです。すると腹では別のことを考えていると、捉えるのが自然ではないでしょうか。

とにもかくにも、お客様としては、安く情報にありつくことができればいいとなびきます。おまけにkindleはお風呂でも読めて便利です。

そうでなければ、DMMのセールや講談社学術文庫のツイートがバズることはありません。

kindle。初期コストは数万円かかりますが、電子であることを我慢すれば、書籍代を安くすることができます。これはファクトです。

kindleを不都合な事実として目を閉ざすのではなく、kindleがどういうものか熟知した上でリアル本の良さを伝えるのが、令和の書店員というものではないでしょうか?

kindleを使うことでリアル書籍の強みを再認識できるのです。

一番避けるべき未来は

お客様がkindleの便利さに気付き、書店から離れ

出版社もkindleの良さを知り、書店から離れ

著者もkindleばかりで発表するようになり

ただ書店のみがポツネン、時代に取り残されることです。

今からでも遅くない

書店員目線でkindleを知ろうではありませんか。

ということで、今日のテーマはkindleです。

まずkindleのデメリットから

意外とkindle化していない本がある

そのラインナップ700万冊と呼ばれるkindleですが、意外にkindle化していない本があります

福岡伸一 生物と無生物のあいだ 

杉本博司 アートの起源 

井上 雄彦 スラムダンク 

これは、著者の意向であったり、出版社の都合であったり、事情は様々なのですが、おや?!という名作がkindleから抜けているのです。

恐らく、Amazonには早期kindle化希望のリストがあって、せっせと営業をしていると思うのですが、それでもkindleに無い売れ筋があります。

kindle化していないリストを書店勢が作成できれば、入手できれば電子化されていない本です!とフェアを組むことができるのです。

たしかに、「生物と無生物の間」書店で引き続き売れていますよね。

kindle unlimited の利用上限が10冊

kindleにはkindle unlimited という月額980円で約12万冊(和書)が利用できるサービスがあります。書店的には脅威ですが、10冊しか借りれないという弱点があります。

kindle unlimitedでは購入ではなく、電子書籍を借りるという体をとります。

図書館の貸出枠のようなものです。10冊までは借りられても、11冊以上同時に端末に入れることができないのです。

じっくり1冊読む人ならいいですが、

文学も実用書もビジネス書も、マンガも同時に興味のおもむくまま読みたい人はこの10冊という制限は気になります。

また、unlimitedには無料の漫画がありますが。

人気作品は分冊版という形を取とっています。

魁男塾を例にすると。1巻が8分冊されており、その都度ダウンロードが必要です。

その結果、魁男塾の冊数は300以上と異様な分冊になっています。

なんたるもどかしさ。爪楊枝で食事しているようなものです。

人気作だからなのでしょう。一気に読ませたくないのですね。

一気にダウンロードするにも10冊までしかunlimitedは借りられません。

このわずらわしさを避けるには、通常版を購入しなければならないのです。

これでは、かえって不興を買っているのではないでしょうか。

せこいぞ、Amazon!

もちろん、左ききのエレンのように、1冊を1回でダウンロードできる良心的なコンテンツもあります。

これが、kindle unlimitedにあるのは、絵をリライトしたバージョンがあるためです。

リライト版はkindle unlimitedにはありません。

kindle unlimitedは確かに様々な本が読めます。便利です。が、所々Amazonが有料版に誘導させたいがための仕掛けが鼻につきます。

ちなみに余談ですが、左ききのエレン原作者はリライト版を押しています。

【左ききのエレン】“原作版”と“リメイク版”どっち読むべきか問題。|かっぴー(漫画家)|note
原作版「左ききのエレン」1〜10巻が、あわせて50円で買えるキャンペーン中です!!!!!!(1月30日まで!) Amazonリンクはこちら! で、 これを機に「“原作版”と“リメイク版”って何が違うの?」「どっち読めばいいの?」とか、その辺の話をします! ・エレンには“原作版”と“リメ...

が、絵の拙さはあるものの、僕は原作版が好きです。

昔のファミコンの絵は荒くても脳内で補ったでしょ。あれと同じです。

ネットで生まれた原作が、リライト版まで登場するのは、やはり原作に力があったのだと思うのです。

意外と少ないkindleの容量

kindleの容量は本棚に比べてプアです。

8GBはせいぜい1,000冊です。意外と少ないですよね。1,000冊なんて文庫換算で棚2スパン程度ではないですか。箱数で7箱ぐらいかな。全然少ないですよね。

32GBのkindleもありますが、5,000冊程度です。このくらいダウンロードすると、かえって探す方が大変になります。

そう、本棚に挿されたリアル書籍は検索性が高いのです。手が場所を覚えていますからです

1,000冊5,000冊十分じゃないか、と感じる方もいるかと思いますが、これが漫画になると、約150冊400冊、雑誌だと40冊180冊になります。

雑誌40冊なんて、ホムセンで売っているカラーボックス以下の容量です。

このように意外と容量はプアなのです。

kindleに使うお金は、いっそふるさと納税で本棚をもらった方がいいかもしれませんね。

参考記事-ふるさと納税で本棚をもらおう

書店員がこれは脅威だと感じたkindleのメリット

安い、読書サブスクであるkindle unlimitedがある。在庫数が多い700万冊。時々セールがあるので、リアル書籍より安く買える。場所と取らない。

こういったkindleのメリットは多くの人が取り上げているので僕は繰り返しません。そもそもメリット?ですかね?いうほど。

  • サブスクkindle unlimitedにはせこさがある。
  • 在庫が多くても、意外な本がkindle化されていない。
  • セールはあっても、あくまで電子書籍です。
  • 場所はとらないが、意外とkindleの中に本が入らない。特に雑誌。

リアル書店勢の一員として斜に構えた捉え方ですが、一般に言われるメリットが、僕にはメリットに思えないのです。

ただ、一つ脅威となりうるメリットは、kindle出版です。

kindle向けの書籍をリアル書籍より簡単に出版ができるのです。

言うまでもなく、生産・流通の面からkindle出版のが簡単です。

さらにkindleの印税は魅力的です。70%(kindle独占の場合)か35%を選べます。

俗にリアル書籍の印税は10%と言われますが、この印税は著者をグッとさせませんか?

なおkindle unlimited対象商品は1ページ読まれるごとに0.5円印税が入る仕組みです。

kindleで十分販売数が稼げるという分かれば、無理にリアル書籍をつくるまでもない。そのように考える著者が今後増えてくるような予感がするのです。

例えば、

探せばもっと出てくるかもしれません。

kindle化されていない書籍があると同様に、リアル書籍化されていないkindle本があるのです。

新刊の文庫が多すぎるから、文庫担当の仕事が流れ作業になっている。と記事を書きましたが。

リアル書籍を出版しても1,2ヶ月しか書店に残れないのであれば、いっそkindleのみの出版にして、販路はSNS・ブログで探る

著者サイドはこのようなやり方を指向しはじめるのではないか、これがkindleによる最も大きな脅威です。

もちろん、商業出版は出版社を介すことで、校正や事実の担保がされます。

kindle出版は品質の低さからいずれ第二のアタリショックを引き起こすのかもしません。

それとも、今まで出版が

私家版・同人誌<自費出版<商業出版

のヒエラルキーで成り立っていて、いつかは商業出版やがてベストセラーという構造だったのが

kindle出版が加わることで

kindle出版<私家版・同人誌<自費出版<商業出版

と変わり。

既存の商業出版や書店の価値を脅かすのではないかと、考えるのです。

kindleのメリット・デメリットから浮かび上がる リアル本の良さ

kindle出版ではできないリアル本の良さと何でしょうか。

  • 絵本に代表される、大判、絵入りで出版できる
  • 図解・イラストを多用できる
  • 段組みができる
  • 学習参考書のように書き込みができる

リアル書籍の持つ良さについては児童書と絡めて以前の記事で少し触れています。

絵本・児童書がまずリアル書籍の特性に気付き、その手法がビジネス書に伝わり、児童書化したビジネス書が量産されている動きがあります。

有名ビジネス書の図解版が相次いで出版されるのはそのような背景が後押しをしているのでしょう。

このような変化を文字が主体のジャンルは援用できるだろうか。具体的には文芸書・文庫新書・専門書はできるだろうか。

価格と利便性で劣っても、やはり紙のがいいよね。リアル書店で買いましょう感を打ち出すには何が必要なのか。

  • 非kindle本フェア
  • サイン本
  • おまけをつける
  • 限定ペーパー付
  • 著名人による解説
  • トークイベントと絡める

対処療法的な対策は思い浮かぶも、決定打には欠けます。

出版社もどこまで知恵と資源を提供してくれるか怪しいです。

「もうリアル書店に肩入れしなくてもいいんじゃね?電子で売れるし。」

となるまで、残された時間は少ないと考えるのです。

いずれにせよまずkindleを知ろう。端末はどれがオススメ?

僕は第7世代を使っています(2014年発売)

最新は第10世代です。だいたい1~3万円です。

ちょっと、高い買い物ですね。マンガが20~30冊以上買えてしまう。

ですが、メルカリなど中古サイト探すと、第7世代は5000円程度で買えます。

お試しならば、中古という選択肢もあります。

kindle unlimitedも月額980円とはいえ、初回につき3か月は無料という所が多いです。

最後に kindleが書店員を救う未来もありえます

電車に乗っているとスマホ勢が相変わらずですが、kindle派も少なからずいます、増えてきた印象があります。

学校教科書も電子化されます。

電子勢の浸透が進む中、書店員がkindleがどのようなものか、知って備えるのに、早いことにこしたことはありません。リアル書籍も電子書籍もで両方の特性を知っておいた方がいいだろうという事です。

kindleに書店員はいませんが、リアル書店には書店員がいます。

これを魅力に転化できるかどうか、胸躍るではありませんか。

今日はここまで

書店員勢から反発を買うかな?とおもいますが、はやりkindleに目を閉ざしてはならないと考え書きました。

電子書籍界隈に触れていて、そのお金の流れを知ってふと思ったことがあります。

書店員の上がらない給与、ほぼ最低賃金。改善されない業界全体の待遇。

ならば、いっそ書店員が個人としてAmazonと手を組み各々がkindle出版なり書籍の紹介を行って、収入を得る形もありうるのではないか。

リアル書店の書店員として働きつつも、電子書籍の仕組みの中で収入を得る発信をする。

このような未来も十分検討できると考えるのです。

お客様・読み手としては良質な情報にありつけるという意味では、そういった未来のがハッピーなのかもしれません。

今日はここまで

お読みいただきありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました