<銀河英雄伝説的書店論 前編>書店はオーナー企業である事が多い。そのためか、本部は銀河帝国的な雰囲気である。対して現場は、自由惑星同盟的なゆるい雰囲気である。楽しげだが、常勝の書店本部も不敗の書店員も登場しないから、どちらも沈没気味である。フェザーンのような金持も登場しない。

書店あるある

銀河英雄伝説という小説がある。

ざっくり言えば宇宙が二つの陣営に分けれていて、一方が専制国家の銀河帝国、もう一方が民主国家の自由惑星同盟。双方で戦争をしているけなのだけど、どちらもほどほどに腐敗していて、といお話です。

専制国家の銀河帝国が書店の本部

民主国家側の自由惑星同盟が書店の店舗

なんだか、そんな雰囲気だよなぁ、と同僚の顔を思い浮かべてはニヤニヤしています。

僕は店舗と本部両方経験しているのですが、似ているのです。

ということで、今回は銀河英雄伝説的書店論<前編>です。

銀河英雄伝説(以下銀英伝)についてはYouTubeに色々動画が転がっていますので

興味のある方はご確認ください。

自己紹介

メカ書店員と申します。

10年以上書店員やってます。

銀英伝で好きなのは、ハイドリッヒ・ラングのようなチョイ役の描写があるところです。

ラング?誰それ感じですよね。銀河帝国側の数少ない文官です。

ラングはゴールデンバウム朝では内務省社会秩序維持局長官でローエングラム朝では内務次官。権力の主体が変わっても残った高級官吏という役です。

立場上、保身のために謀略に加担するわけですが、私人としてはよき夫よき父親であった。という設定に痺れるのです。

銀英伝はヤン・ウェンリーやラインハルト、あるいはその幕閣に憧れや面白さを感じやすいでしょう。

あるいは、イゼルローン要塞のトールハンマー、ワープで突如イゼルローンの前に現れるガイエスブルクといったギミックも面白い。

しかし、身近にいそうな雰囲気を感じるのが、ラングなんだな。

それだけ、深いのですよ。銀英伝。もし興味ありましたら、とりあえずウィキペディアだけでも見ておくと良いです。

銀河帝国的 書店本部

書店はオーナー企業である事が多い。そのためか専制的になる土壌があります。

何をしているのか分からない創業者一族。

書店に興味があって働いるわけではなく、オーナーに気に入られてやってきた人なんてのもいます。

別の会社からやってきた、人事総務の専門家らしいが、書店で働いたことがない人。

本部をみるとそのような人物がちらほらいます。

こいつら、ワルキューレに乗れるのか?ラッピング出来るのだろうか?なんて思うことがしばしばです。

書店の香りがしない面々が人事総務、店舗開発、店舗支援、営業企画といった部署にいます。

しかもオーディン本部は定時出社で土日休みの待遇。当然、夜勤などありません。

はじめて本部所属になった時、実のところ店舗の皆さんに申し訳なく思いました。

さて、本部。

店舗を楽にしよう、いい店舗を顕彰しよう。なんて動こうにも中々話が進みません。

提案を上司に上げても。うん、上に伝えておくね。と言ったきり、数か月後予算が無いのだよねテヘヘみたいな展開が多い。

だれが何をしているのかよく分からないし、教えてくれない、コロナでリモート。ますます分からない。

経営の重要な決定は、取り巻きが決めているのだが、単に声がでかい人が張り切っているだけで、「坪効率わるいんだよ。どうにかしよう」の一点張り。

オーナーがOKならお金は動くが、別の新規案件が動かない。

まぁ、メカ書店員の政治力が無いのでしょう。棚はいじれば変えれますが、本部は新しいことをやりたがりません。動かすにも組織でやっていかなければならないのです。

組織・チームワークで何かをする。これはほとんどの書店員。経験値が不足しています。

個人主義に染まっている僕にとって本部は窮屈なものでした。今は、まぁ様子を見ている最中です。

年上の同僚が隣の席にいるのですが、よくスマホゲームしているのです。ぬくぬく本部。必要以上の仕事をしていません。

なぜこうも無気力なのか、聞けばオーナーといざこざがあって左遷された社員がいる。

オーナーのお気に入りが、不本意な辞令を受けたためチクったところ、綱紀粛正の名のもと人事部が総入れ替えされた(笑)なんてこともあったようです。

何というルドルフ・フォン・ゴールデンバウム! 恐るべしオーナー。

そんな噂も聞くので、あまり角を立ててはおいしい自分の立場が危うくなるのです。

本部は人を段々と矮小で卑屈にさせます。しかし、それもまた処世術ですので否定はできません。組織の一員という意識が強いです。

まさに、腐敗した専制政治。

いつも新店舗に複数冊本同じ本が刺さっていたり。

物流動線が考えられていなかったり。

赤字の店舗を作って、自己満足にひたるとか。

社員の人事異動が頻繁であるとか。

店舗時代感じていた疑問が本部の状態を知り合点ゆきました。

ああ、そして、圧巻は上司の執行役員と会食をしていて「うちの本部は現場経験者がいなくていかんよ、アハハ」あの、、目の前にいますが・・・メカ書店員・・・現場長いですよ・・・つまり、部下の経歴を把握していないのですね。

色々な提案をしていますが、さてはてどうなることやら。

幸い(!)業績がひどく悪くなっているので、この危機にラインハルトは登場するのか?

驚くべき抜擢があるのか、もうしばらく目を離すことはできません。

自由惑星同盟的 書店の店舗

一方で、書店の現場は長征一万光年、長い間自分探しと自由を求め、今もなお20代30代を彷徨うフリーターとスキマ時間を活かそうとしている主婦層で構成されています。

ほぼ最低賃金の待遇ながら、自分で選んだ好きな仕事を楽しんでいます。

それぞれは個人主義で職人気質。こだわりの棚を作りたいと考えています。

大きな旗艦店であっても実態は個人商店の集まりで、つい相手の名字を取って「田中書店」調子はどう?「メカ書店」同じフェアいつまでやってんだよ! なんて雰囲気です。

朝の箱明けではワイワイガヤガヤ共同作業。そういった作業を毎日している結果、自由でゆるい連帯をもっているのです。

上司部下ではない連帯。そのせいか、明確な目標が絶えず意識されて、それに向かって工夫を重ねるという雰囲気ではありません。

売上が下がっているのだよ、と店長から言われても、「いやー、今期は鬼滅の刃無いですからね」と売れやすい玉が無いことを理由に、スタッフはのらりくらりかわすのがもっぱらです。

とはいえ、無気力というわけではなく、時々本気を出して単品売上日本一といった戦術的勝利を挙げることもあるので、邪険な扱いはできないです。

なにより、彼らに反旗を翻されたらお店が廻らなくなってしまうのです。それにパート・アルバイトなのに売上まで責任を持たすのも無理筋といえば無理筋です。

ジャンル経験に乏しい新米店長は、スタッフの扱いで参ってしまうことがあります。

率先して手本を見せられない社員・店長は事務所にこもってパソコンに向かいがちです。

書店員が販売員兼バイヤーであるという話は別記事で書きましたが、棚に対する裁量が大きいため、楽しんで戦術的勝利をいくつも上げる書店員ほど放縦に向かいます。

ただ、その勝利は自分のテリトリにこだわった成果で

校庭の草むしりで言えば、自分の周りだけ完璧にやった結果なのです。

戦術的な勝利。これを横展開すれば、チェーンは大いに繁盛することでしょう。

ただ、それは出来ない。仕事が属人的なのです。

時々、チェーン全体の施策はありますが、フレッシュな選書でないことが多く、質は出版社提案のものより悪い。それでもやれというので、仕方なくやりますが、現場ではやらされている感でウンザリします。

本部施策は上手くゆかない。それは店の傾向が店ごとに違うためです。

店のお客様にウケる本を知っているのは売り場担当であるため、それを超える提案を本部から出すことは中々難しいのです。結果、本部提案のフェア、無視できるものは無視される、本部の権威は失墜する傾向にあります。

このように、個人主義・属人主義が蔓延しているのが書店の現場なのです。

では、統制したらどうだろうか?

個性が強い店ほど良いお店とされて。それが良しとされ、世間もそう見ているので、なかなか統制をかけることはないです。

スタッフの一斉粛清なんて荒業を過去に聞いたことありますが、結局別の個人主義・属人的な仕事をこなす職人がやって来るだけなのです。

Twitterを見て分かること

どのくらい現場が自由惑星同盟的雰囲気なのか、分かるものがあります。

Twitterです。

「書店員のTwitterアカウント」と「店舗のTwitterアカウント」が並走していることに違和感を覚えませんか?こういう並走は、他の小売業にはみられないのではないでしょうか?

百貨店の販売員が、スーパーが、コンビニが、日常やおすすめ商品をつぶやくようなアカウントはありますでしょうか。書店に近接しているレンタルDVD店でもあまり目にしません。

「書店員のTwitterアカウント」発信内容から、どの店なのか分かるのですが、あくまで個人的な見解という形を取っています。

しかも、書店員アカウントが店舗アカウントよりもフォロワー数多かったりするのです。

これは、放縦を表すなによりの証拠ではないでしょうか。

書店のアカウントも様々です、お店のいちジャンルが独自にアカウントを持っているのが散見されます。

たぶん、そちらのが機敏につぶやけるのでしょう。文芸と理工書で同じタイムラインではおかしいから分けよう、と考えたのでしょう。しかしこれは、店がそれだけ各ジャンルごとまとまりがない証左と言えます。

しかも、急に呟きが無くなることがあります、担当が変わったのでしょうか。あるいは、本部がSNSに急にへんてこなルールを課す(例えばフォローバックはしない、@呟きがあっても反応があっても返信しないとか)ことで急に沈黙することもあります。

このように本部と店舗の関係がどうであるかが

書店のTwitterアカウントの発信頻度・発信内容で透けて見えるのです。

自由闊達なのか、変な炎上で仕事が増えることを恐れて本部が統制を加えているのか。

個々の書店員が自分でアカウントを持って発信している、ぐらい自由なのか。

個々が発信することに制限をかけている、店舗のアカウントは概してつまらないです。

令和の時代SNSやらないでどうするんだよ書店は!と考えるのは正常なのですが

本部はもし炎上したらどうしよう、新しいことをやるには議論を重ねて云々、なんて過剰に考えるものだから、新しいこと止めましょうとか、つまらない告知ばかりのTwitterになるのです。

いやー、面白いですか?フェアの案内、入荷の案内、イベントの案内、一番くじの案内が延々と続くTwitter。バズりませんよね。

作ったはいいもののクモの巣が生えているTwitter。よく見かけます。

本部が現場にとって楽になることを施策し、現場は本部へほかの店舗でも使えますよと成功事例を具申する関係が望ましいのですが、お互いがお互いだけの仕事をしているのです。

本部は保身に、現場は放縦へと動いているわけだからです。

・・・

さて、どーーなってしまうのか書店! 本部と店舗

常勝の書店本部も不敗の書店員も登場しないから、どちらも沈没気味です。さわやフェザン店は登場しても、フェザーンのような金持も登場しない。

今日はここまで

次回<銀河英雄伝説的書店論 後編>

両方を体験した、僕からの提言を続けたいと思います。

帝国も同盟も両方体験したメルカッツ提督みたいな立場だから分かることがあるのです。

今日はここまで。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました