書店営業さんからの注文書はなるべく応えるようにしたい。 貸し借り、人間関係を作ることが繁盛店への道。書店員の一流二流三流とは

書店繁盛への道

色々なタイプの書店員がいますが、できる書店員は出版社との関係性を重んじています。書店員は販売員兼バイヤーであるためです。

小売店において、本部が一括して商品発注を行う場合がありますが、書店は取次が決めた自動配本が主流であるものの、棚担当による新刊発注・既刊発注もウェイトがあります。

出版社によっては、取次からの自動配本の無いところもあります。そのため書店めがけて営業さんがやってくる、そのような商流になっているのです。

平日午後の書店にゆくと、クリップボードを持ったスーツ姿の男女が書店員と話し込んでいる姿を見ることはありませんか。このクリップボードを持っている人たちこそ、書店に出入りしている出版社営業の方々なのです。

出版社営業さんを大切にしよう

出版社営業のチカラを引き出すこと無くして、いいお店は作れません。

なぜなら、出版社営業さんの方が書店員よりも情報を持っているからです。

  • その本が出版された背景
  • 編集が意図している事
  • 全体の発行部数
  • ライバル店の発注数、動向、改装情報、人事情報
  • 最近の地域書店の動向
  • 既刊で面白い動きをしている書籍情報

書店員は自分のお店につきっきりです。休日に敵情視察しますが、それでも限定的なので、もっと情報が欲しいのです。

様々な店の情報を誰が持っているのか、それは色々なお店を出入りしている出版社営業さんなのです。(逆に、書店員が持っているのはどんなお客様が買っているかという、購買属性・傾向です。)

出版社営業さんから情報を引き出しつつ、これが営業トークであることを割引ながら、自店の属性を考えて発注数を決めるのです。

よく使うテクニックが、発注数で迷う時、近くの○○書店はどのくらいでしたか?と聞いて、それに上乗せしたり、割り引いたりして、決めていました。

あと、「あなたなら何部発注する?」これもよく使いました。営業さんがどのくらい分かっているかを試すのです。

さて、必ず気を付けることがあります。発注ゼロで返してはいけないです。

この本、趣味にあわない。店のカラーにあわない。と拒絶せずに1冊は発注を付けるのです。出版社が熟考の上、出版するとは売れると勝算あってのことです。それに応えるというのが一つの理由です。

もう一つは、営業さんをゼロで返してしまうと、この店は成績にならないな、と二度と足を運んでくれなくなるのです。

逆の立場で考えてみましょう。出版社オフィスから、はるばる電車やバス・車で歩いてやってくるのです。冬は寒し、夏は暑い。ご足労いただいて、発注がゼロでは、こころ折れるではありませんか。

店の趣味じゃない。これは駄本だ、と直感で分かっても、よほどのことがない限りゼロにしてはいけません。

自分自身、10年余りを振り返って、うーん、一度ぐらいしかないですね。

一流の書店員とは

さて、出版社営業さんと立ち話。

書店営業さんの新刊提案を聞くだけなら、普通の書店員です。

ライバル店を含めた情報交換ができて三流。

自店のトレンドを的確に伝え、既刊書まで注文して二流です。

営業さんは新刊の話ばかりするのですが、書店にとっては既刊も売れるのであれば持っておきたいです。出版社名で検索をして、過去半年、1年でその出版社の本が在庫していなければ、ついでに発注していいのです。

たまたま、営業さんに会えなかった月の新刊や取次の自動配本から漏れた本が、ずっと在庫ゼロのままであることがあるのです。

既刊発注に踏み込めて、二流です。

では一流はどういう書店員でしょうか。

今度こういうの作ってください。と提案し出版まで持ってゆき。店でロングセラーにして一流なのです。

営業は編集とも繋がっています。書店員は売上傾向から最近のトレンドを知っています。

こういうのがあったら売れるのではないか。ああいうのは存在しないから穴場ではないか。未出現のベストセラーを書店員は持っているのです。持っているべきなのです。

僕の体験としては、洋書兼芸術書を担当してた時のことです。ステキでかわいいイラスト洋書を仕入れてたくさん売れていたので。これは和書にしたら売れると確信を持っていました。

会う営業さんすべてに「これ翻訳して、これ翻訳して、絶対来る。」なんて言っていたら、最終的に3社から同じような本が出版されました。

ありがたいことに、一部はシリーズ化して、自店はもちろん世間でもよく売れました。

このように、アイディアを伝える。営業さんが会議で報告をする。編集がそれイイね、となる。本が出版される。売れる。店が潤う。書店員の鼻が高くなる。

理想的な好循環を作ることが出来て一流なのです。

営業さんにとって、発注をしてくれる、既刊の注文をくれる、さらにはアイディアまでくれる。大切にしちゃいますよね。

ここまでしてくれる書店員に対しては、多少の無理難題も応えてくれるでしょう。

もちろん、書店員も出版社営業が困っているなら手を貸すのです。

営業さんの顔を浮かべながら、この本売りたいなPOPを立てるか、SNS発信をしようか、と通ずる仲になるのです。

今は書店員が出版社営業さんに営業する時代ではないだろうか

しかしながら、現実にはそこまで営業さんを大切にする書店員は少ないです。

営業さんがやってくると品出しが滞る。接客の妨げになる。アポなしとは何事か(実際アポなしのが多いです)。舌打ちをする。なんていますが、僕はそういう心構えは違うと思います。

接客とスタッフの管理、シフトの作成 それが書店員の仕事で大切です。わかりますよ。大切。しかし、対外的な仕事も重要です。

今の時代、リアル書店の良さを書店員が営業さんに営業する時代ではないかと考えるのです。

なぜなら、出版社は本を売る場所は書店だけでないと気づいているからです。

書店でなくとも、ネットで販売、電子で販売、SNSから誘導、イベントで販売、自社通販で販売。などなど、販売のルートは様変わりしています。

それでもなお、書籍を書店で売る理由・メリットを書店員側が作り出さなければ衰退につながると確信しているのです。

そういうわけで、どんな、状況でも可能な限り会う。それを僕はポリシーとしています。

まぁ、近頃はコロナでそうもゆきません。心配しています。リアル書店の良さが崩れる転換期にならないことを祈っています。

今日はここまで。

お読みいただきありがとうございました。

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