日本のレンタルDVDショップはどうなるのでしょうか?あの、DVDが並んだ棚は愛しくないですか。

書店繁盛への道

はじめに、こちらの動画を共有します。 

Map of the Rise and Fall of Blockbuster Video

まさに栄枯盛衰。かつて5000店舗以上レンタルショップ持っていたブロックバスター店舗推移です。今現在1店舗しか残っていないのです。

今回、書店員がレンタルショップについて話すというのは、門外漢なのかもしれません。

確かにそうなのですが、日本の書店業の売上トップは紀伊国屋書店ではなくTSUTAYAであり、そのTSUTAYAはレンタルのトップでもあります。レンタルの衰退が書籍事業に与える影響を無視できないのです。

レンタルDVDの不振話を聞くたびに、いつかとばっちりが来るのは?とオドオドしているのです。

また光景が似ていませんか。DVDが並んだ棚と書籍が並んだ棚。レンタルと所有するので違いはありますが、通ずるところがあります。実際、多くのTSUTAYAで同じ屋根の下レンタルも書籍販売もしています。

このように分かち難いレンタルと書籍。書店業界を考えるにあたってレンタルショップの動向は把握しておくに越したことないのです。

ということで、今回のテーマはレンタルDVDショップです。

自己紹介

こんにちは、メカ書店員です。

はじめてレンタル経験は、父親がドラえもん無かったからと別に借りてきた『宇宙船サジタリウス』です。

なぜ、ドラえもんではないのか!と憤慨しながら見ましたね。

人生ままならなさを感じた原初の思い出です。

10年以上書店業界にいます。

書店員として経験してきたことは

  • 旗艦店
  • 新店立ち上げ
  • 書店外商
  • 管理職
  • 本部
  • 都会の店舗
  • 田舎の店舗
  • 本のないお店

と様々な場所を経験してきました。

ですが、今回はレンタルDVDショップについて。

書店員で危機意識を持っている人は少ないですが

この動向が意外と身近な書店環境に大きな影響を与えると僕は見ているのです。

書店業界よりも厳しいレンタルDVD業界

みなさん、最後にレンタルショップに行ったのはいつでしょうか?

ここ数年、日本のレンタルショップTSUTAYA・GEO共に苦境が報じられています。

ちょっと検索すればこんな記事がたくさん出てきます。

TSUTAYA閉店ラッシュの理由。DVDをレンタルする時代は終わった|映画と暮らそう
TSUTAYAの店舗が全国規模で続々と閉店し、TSUTAYAを愛用している人々が悲しみの声を上げています。 10年以上使

(TSUTAYA閉店ラッシュの理由。DVDをレンタルする時代は終わった)

毎日のようにユーチューブは見るのに、最後に利用したのはいつでしょうか?

時代の流れとはいえ、レンタルショップが滅びてしまうのでしょうか。

レンタルDVDの並んだ棚は愛しく感じませんか。

歴代大河ドラマ・海外ドラマ・テレビドラマの歴史がパッケージと共に詰まっているあの棚。パッケージを見るとその時の記憶がよみがえりませんか?色あせたパッケージが様々な記憶を呼び起こすのです。

亡くなった親と見たDVD。初めて借りたDVD。恋人と見たDVD。

アルフ・旧ドラえもん・登場人物がみんな若いころのドラマ、棚に向かうと映像の地層を感じることが出来ます。

リアルショップの利点は、新作・準新作・ちょっと前の作品から古典まで、時系列を追って一望できるところにあります。

映画監督も国・地域別でロシア映画を攻めることもできました。

映像という表現発露は最近100年間ですので、書籍ほどより点数が少なくコンパクトにまとめることができます。中核市(人口30万人)規模のレンタルショップにゆけば、新作はもちろん名作・古典が揃っている。そういった印象を持っています。

現在危機に瀕してるのは、このほどほど規模のレンタルショップです。起死回生はあるでしょうか?それとも、ブロックバスターのように大量死を迎えるのでしょうか。まだ、引き返せる地点にいるでしょうか。

豊富な人材、拠点、資金力ゆえの足かせ

冒頭に紹介したブロックバスターは破滅の前に引き返せる地点がありました。

2000年と2007年2度もネットフリックスを買うチャンスがあったのです。

しかし、リアル店舗と配信・宅配はカリバリ(共食い)を起こすんじゃないか。リアル店舗を持っていることが自社の優位ではないか。社内の権力闘争も手伝って買収は見送られました。

考えるに、自社の脅威となる商売。ゲームチェンジャーと言えるような革新勢力を自社取り込むことが、豊富な人材、拠点、資金力を持っているがゆえに、できなかったのです。

これは、日本でも起きたことです。

かつて古本市場で息を巻いていたのはブックオフです。全国に店舗を構え、一番身近な古本屋ではなかったでしょうか。

業界で一番、豊富な人材、拠点、資金力を有したにちがいありません。

しかし、現在古本市場をみれば勢いがあるのはネット専業業者です。スーパー源氏(1996年創業)、ネットオフ(1998年創業)もったいない本舗(2004年設創業)、バリューブックス(2005年創業)など、ネット専業の中古本屋です。アマゾンで検索してアマゾン在庫がない場合、新品は無いけど中古本ならあります、と表示される会社群です。

ブックオフも遅れながらもネット事業を持っていますが、苦戦を強いられています。

なぜ、人はブックオフ店舗ではなくネット専業業者を使うのか。それは家にダンボールが届いて詰めて送り返すだけで来店の手間が省けるからです。売るために、重たい荷物を持ちたくない。

さらには、メルカリに代表されるフリマサイトも跋扈しています。手間はかかりますし、必ず売れるわけではないですが、フリマサイトならば、ブックオフより高く売れます。

多くのブックオフでの買取経験者はこう感じていませんか?

この本たった10円かよ。それを100円以上で売っているのかよ。という負の感情です。

「ヴぁ?この『失われた時を求めて』値段が付かないってどういうこと!」なんて個人的な経験もあります。

こういった、お店体験もネットに流れる要因でしょう。

すっかり後発組にやられっぱなしのブックオフ。もちろん、本以外の買取を充実させることで業態を深化させて、いまだ圧倒的存在感持っています。

しかしなぜ、豊富な人材・拠点・資金力があったのにネット専業・フリマサイトに対して対抗策を打てなかったのでしょうか。

おそらく、フランチャイズへの義理、店舗があるということ、今までの勝ちパターンが気持ちを躊躇させ、業況拡大するゲームチェンジャーに対して何もできなかったのでしょう。

成功が足かせとなるのです。

翻ってTSUTAYA、GEOはどうでしょうか?似た状況ではないでしょうか。

これからのレンタルDVDショップへの処方箋

レンタルショップは一部の趣味人のために大都会は残るでしょう。SHIBUYA TSUTAYAが約6千本のVHS用意、ビデオデッキ貸し出しを開始するなど、特化した新たな試みはあるもの、これがまちのレンタルショップを救う処方箋足りえないことは明らかです。

ブロックバスターのような急な縮小はないでしょうが、今もゆっくりと店舗を減らしています。フランチャイズが逃げています。単に後継者がいないではなく、商売として厳しいのでしょう。

特にTSUTAYAは書店事業も抱え、金城湯地であったポイント事業も競争がし烈です。

その結果、書店がとばっちりを受けるのであれば、いい迷惑です。

ならばどうしたらいいのか。

人口が多い地域で有効な趣味人のための店舗といった、汎用性の少ないやり方ではなく、地方でも使える処方箋を企画することが求められているのではないでしょうか。

書店と比べて、レンタルショップによる発信は聞きません。

書店にカリスマ書店員がいるようにカリスマレンタルスタッフを輩出することはできないのでしょうか。

画一的な本部施策で新作を並べることが多いレンタルショップですが、店独自の推しを集めPRできないのだろうか。

特に、書店が既刊書を売りのばすことで名をあげるように、過去作品こそ楽しさを発信できないものか。

映像作品を棚から選び楽しむ。そのために足を運び棚に立ち見るという感覚を次世代に引き継げるかどうかの背戸際。店舗の棚にお客様を引きずり出す企画は出ないのでしょうか?

このままでは、フランチャイジーは見切りをつけてしまいます。レンタルの代わりにカフェスペースか多少本を置くか。いっそ袂を分かちドラッグストアにしようか考えるのが自然でしょう。

ゲームは既にチェンジしていて。レンタルDVD店舗はストリーミングと宅配DVDの戦いであって、店舗はもう足枷でしかないのかもしれません。

ブロックバスターの失敗はリアル店舗へのこだわりにあったわけですし。

・・・

それでも店舗のことを考えたのだなと、感じたのが2018年11月にはじめたTSUTAYAプレミアムです。

2012年8月にストリーミング・DVD宅配のサービスTSUTAYA DISCAS はじめているのに https://www.discas.net/netdvd/entrance/entrance01.html

後追いで、ストリーミングに加えて登録したリアル店舗でDVDを借りることも出来る 

TSUTAYAプレミアムhttps://tsutaya.tsite.jp/premium/index

を開始したのです。

リアル店舗をかませる事は、まだあきらめていないというメッセージです。

その次の一手がない。リアル店舗の品揃えの魅力とは何なのでしょうか。これが見えない。

  • ネット配信には無いレア商品があるのか
  • 店舗に足を運ぶと、意外な発見があるのか
  • 目利きが選んだ、これは!という一本があるのか

こういった、発信がされていないように感じます。

店舗に足を運んでもらう動機を、本部による組織的な企画で実現するか。

書店勢が得意とする店舗の内発的な発信をレンタル店舗に援用するか。

今後、この商いはどのように変容してゆくだろうか、

2020年代は正念場です。

・・・レンタル店舗の魅力を引き出す処方箋が出来ないようであれば、書店の魅力を引き出す処方箋もまた作り出せない企業ということで、やがて店舗が足かせとなりブロックバスターと大量死を迎えるのか。

・・・最後まで見届けたいものです。

今日はここまで。

お読みいただきありがとうございました。

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